2012年12月03日

告白

今の妻と出会うより前の話をする。

僕の人生でもあんなに好きだと思ったことはないというほど好きだった子が、島根に転勤になった男に「着いてきてくれ」って言われてコロっと着いてっちゃった。

僕とだってセックスしてたというのに、ほとんど事後報告みたいな感じでそのことを伝えられた。
よりによって島根って。
距離ではなく印象だけでいうと、九州や北海道より遠いよね。

でも、たとえ止めたとしても彼女はもう僕の言うことに耳を傾けなかっただろう。

あの子はただ「これまでの生活を捨てて男に着いていく自分」に酔っちゃったんだろう、と思う。
「若さとは愚かさのことである」とは僕の母親が遺した言葉だけれど、本当にそう思った。
他人に何がわかる、と思う人もいるかもしれない。
いいや、他人だからわかることだってあるのだ。

***

その後、一度だけ島根まで彼女に会いに行ったことがある。
彼女は僕を歓迎してくれたし、僕の好きな人なつこい笑顔があいかわらずそこにはあった。
でも、彼女と楽しく会話しながらも、ずいぶん遠くにいるような、奇妙な感じがした。
透明だけど決して破れることのない壁が、彼女と僕の間にはもうできちゃってた。
だから彼女が笑顔になるたびに僕は泣きそうになった。
帰りの列車に揺られながら、もう一生彼女と会うことはないだろうと思った。

***

人づてに、彼女がここ数年でびっくりするほど老けたと聞いた。
それで急に切なくなって、こんな誰も見ていないブログを数年ぶりに更新していたりする。

きみの人生で、僕はもう過去の男だろうけどね。
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2008年01月16日

101.最高のビールを飲むには

昨日、無事に長女が出生。なかなかの美人。

1人目に比べれば感動が薄いかなとも思っていたけれど、いざ生まれてみれば、もうとにかく朝からいろいろ最悪の場合を想像したりしてどきどきしていただけに、肩の力がふーって抜けていくような安堵と、うん、とにかく俺の命に賭けてもお前だけは守ってやるぜ的な父性が、ほんのりとした涙とともに浮かんできたのだった。

娘を抱くと息子が「ぼくもだっこ〜」って予想どおりの嫉妬をしてくれて、僕は娘をベッドに寝かせたあと「お前のことが大好きだよ」って強く息子を抱きしめると、息子も安心して「あかちゃんかわいいね」ってにこにこしていた。

ナースたちにも「きょうはありがとうございました。おかあさんをよろしくおねがいします」ってペコリと頭を下げて、いつも思うがお前は2歳5ヶ月にしては素晴らしすぎる。
僕に似れば、20年後にはその言葉のあとに「おきれいですね。一目惚れしました」ってつけられるようになる。
めざせ未来の石田純一。
パパはあくまで想像で語るけれどナースは意外と簡単に落とせるジャンルだ。

気づけばなんだか体はくたくた、お腹もぺこぺこ。
息子と、はるばる出向いてきた義母を連れて中華料理店でコースメニューを注文した。

なんだろう、この世界ががらりと違ってみえる感じは。
長男のときにも思ったけれど、とにかく子供ができることで親の精神に及ぼす影響のすさまじさったらないよね。
「二児の父」なんて、言葉にして書くとまだ自分とは別世界の人みたいに感じるけれど、たぶん僕もだんだんそういう顔つきになるのだ。

料理はおいしかった。
でもそれ以上に生ビールが「なんだこの飲み物は」ってくらいに最高で、結局お前はそれかよと自分に対して思った。
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2008年01月01日

100.淡々とした日付変更

あけましておめでとうございます。

2007年最後に口にしたのはビールで、2008年最初に口にしたのは焼酎のお湯割りだった。
ここ10年以上、年越しはスキー旅行と決まっていたのに、臨月の妻を持つ今回はついに自宅で年を越した。
この時期のテレビはいつにも増してくだらないからまったく見ないし、仕方なくベッドに寝そべりながらDSで遊んでいる。
ハレかケで言えば100%ケ。

記念すべき100回目の日記がこんな内容。
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2007年11月21日

99.名づけ

こっちに書くのは久しぶりだ。

来年1月に生まれる予定の2人目の赤ちゃんは、どうやら女の子ということらしい。
まあ別にどっちでもいいんだけど、どうせなら両方育ててみたいってことで、今度はやんわりと女の子を期待してたわけだ。
だから女の子とわかってうれしいのはたしかなのだけれど、それよりもとにかく無事に生まれてきてくれないと困るわけで、神社のお札に手を合わせたり、妻のおなかに呼びかけてみたりしながら日々を過ごしている。

女の子とわかったことで悩み事ができた。

ひとつは、名づけのこと。
誰にでも読み書きできて、いちおう画数なんかも気にして、奇抜でなく、かつありふれすぎない名前。
たったこれだけの条件でも意外に難しいものだが、娘というのはこれに「呼んだときのかわいらしさ」という条件も加わって、さらに難しくなる。
毎日いろいろと考えているが、どの候補もまだ決め手には欠ける。
結局また生まれて顔を見るまで決まらなかったりするのかな。

もうひとつは、将来のこと。
妻に似ればけっこうな美人になる。
年ごろになれば、ショウジョウバエみたいな連中がウヨウヨと涌いてくるに違いない。
もちろん僕もそんなショウジョウバエの1匹だったわけだけれど、自分がそうであったからこそ、その汚さがよくわかるというかね。
そんなの今から悩むようなことじゃないよと妻に言われた。
そりゃまあそうだが。
男としてわりと好き放題生きてきた僕は、娘にもそれなりの寛容さをもって接していきたいとは思っている。
娘くらいの年齢の女の子にもモテる男でいたいしね。
そっちはたぶん問題ないだろうと僕の中の明石屋さんまが申しております。
えっと、妻に怒られない程度に頑張ります。

妻のおなかを指差して「いま赤ちゃん何やってるの?」と聞いたら、息子が「おふろ入ってるの」って答えたよ。
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2007年09月26日

98.選択

イベントで使うので、画用紙に動物の顔を描いてお面をつくってくるようにと、息子の通う保育園からお知らせがあった。

動物であれば何でもいいらしい。ウサギでも、トラでも、ラクダでも。
しかし何でもいいと言われたからって、奇をてらってカピバラをチョイスするような人が僕は嫌いだ。
そういう人は「あなた変わってるね」と言われるのが好きだから、「べつに奇をてらったつもりはなくて、動物と言われて自然に思いついたのがカピバラだっただけ」なんてことを得意げに言うのだ。

まあ、余計な想像はいい。
とにかくここは他人とかぶってもいいから、無難な選択であるべきだ。
「というわけでゾウにしよう」と僕は妻に言った。

妻は大学で芸術を学び、卒業後はデザイナーという職業を選んだ。
だからもちろん絵を描くのは妻の役目だ。
ゾウなんて誰が描いてもたいした差はないだろうと思っていたが、妻の絵を見て僕はその考えを改めなければならなかった。
味わい深い線とあたたかみのある彩色は、そのまま絵本にでも使えそうな完成度だった。
さすがプロだね、と僕は素直に言った。

* * *

プロと言えば、僕もいちおうプロとして文章を書いて生活している。もう10年以上もだ。
とはいえ商業用の文章の書き方についての訓練を受けたのは新人編集者時代の1年くらいのことなので、それ以降はとくに大きな成長も変化もしたつもりはなかった。
ところがそんな折、部屋を掃除していたら、僕がプロとして初めてひとりで企画構成から執筆までをこなした小冊子が見つかった。
当時はけっこう高い評価を得たもので、自分でも一生保存しておくべき自信作との誇りを持っていたはずなのだが、ぱらぱらとめくってみただけで、もう二度と開きたくないと思った。
つたない。洗練されていない。無骨――。

もちろん手を抜いたわけではない。決して雑なつくりではない。
血のにじむような努力で完成させたことは僕自身がいちばんよくわかっている。
ただただ圧倒的に経験不足なだけだ。
今でも僕は自分の仕事が完璧には程遠いとの自覚があるが、今ならこれより数倍ましなものがつくれるだろう。
同じことの繰り返しで、ただ若さだけを失ってきたような気がしていたけれど、必ずしも無駄な歩みではなかったということだ。

* * *

妻は素人から見れば文句のつけどころがないくらい素晴らしいゾウの絵を描いた。
「きみもあと10年経ったら、これをつたないと思うだろうか」と僕が言うと、妻は「間違いなくそうだろうね」と応えた。
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2007年09月02日

97.良き日に

妻が妊娠5ヶ月となり、昨日がちょうど戌の日だったので、今回は兵庫県は中山寺から取り寄せた腹帯を巻いた。

どうして中山寺かと言えば、死んだ母親が僕ら兄弟を生むときに必ず中山寺の腹帯を巻いたからだ。
僕は消極的な無神論者だが、夫が出産のために準備できることはさほど多くないから、いちおうやるだけのことはやる。

長男の出産のときは別の神社の腹帯を巻いたが、その結果妻は50時間以上も陣痛に苦しんだあげく緊急帝王切開となった。
最悪の事態とまでは言わないが、少なくとも安産の願いは叶わなかった。
さすがに二度とその神社の腹帯を使う気にはならない。

それから、今日はせっかくの休日だし水天宮まで行って祈祷してもらおうと妻に提案した。
「別の神社の腹帯を巻いていって平気かな」と心配する妻に僕は答えた。「日本の神様は喧嘩しない」
まったく、僕もそうありたいものだ。

ともあれ、こういうときの僕らの行動はとても早い。
提案してから15分後には電車に乗っていた。
人形町で電車を降りて、商店街を抜けて水天宮へ。
狭い水天宮は休日の戌の日ということもあり妊婦だらけで、空気がいつもよりも暖かかった。
ふだんは人ごみを好まない僕だけれど、人類で最も美しい姿である妊婦がたくさん居並ぶさまは、きわめて控えめに言っても壮観のひとことに尽きる。
心から、そこにいるすべての人の安産を願った。

祈祷を済ませたあと、帰りにゆっくり人形町を散策した。
この特殊な町並みを妻はたいそう気に入ったようだった。
大正時代に創業したという小さな喫茶店に立ち寄り、漬物屋とお茶屋でみやげを買い、「銀座なんか行くより楽しい」と言った。
「今度は巣鴨にも行ってみたい」とも。

いろいろあるけど、なんとか幸せに生きてますよ。
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2007年07月16日

96.なぜコーヒー、なぜビール

「コーヒー」でこのブログ内を検索すると、12件引っかかる。
「ビール」では18件。

一般的な日記に比べてこれが多いか少ないかわからないが、少なくとも僕はどちらも1日1回は確実に飲む。

最近不思議だなと思うのは、冷蔵庫の中にグレープフルーツジュースがあって、僕はグレープフルーツジュースが飲みたいと思っているのに、どういうわけかコーヒー豆を取り出してコーヒーを飲んでしまうことがよくある。

外でもそうだ。
自動販売機に120円を入れて、甘ったるい缶コーヒーなんか飲むくらいならお茶のほうがおいしいと思いながら、どういうわけか缶コーヒーのボタンを押してしまう。

今はスポーツドリンクが飲みたい気分だ、と思いながらビールの缶をプシュっとやってしまうこともある。

いつものくせで無意識に、とかではない。
自分が何をしているかはよく理解している。
そのうえで「ああ、僕は本当は豆乳がいいのに」とか思いながらコーヒーやビールを選んでしまうのだ。

これは僕だけなんだろうか。
誰かに一度この話をしたら「お茶が飲みたければお茶を飲むでしょ普通は」と言われた。
倒置法を効果的に使用しており、主張の内容もまさしくその通りで反論の余地もない。
posted by ハジメ at 11:45| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月24日

95.再びつわる

妻がつわりだと言ってトマトジュースを1日に1リットルは飲む。
これは冗談でも何かのたとえでもなく本当に本当のつわりだ。
つまり順調なら来年の早い段階で我が家は4人家族になる。

前回のつわりでは1日2リットルだったトマトジュースが今回は1リットルで済んでいるのは、前回と違って今回のつわりはくだものが安くておいしい季節だからトマトジュースに頼らなくても食べたいものがたくさんあるかららしい。
ちょっと前まではいちごで、いまはすいかとグレープフルーツとすももをカブトムシみたいにたくさん食べる。

生まれてくる子も夏のくだものみたいに頼もしく輝いてくれればいいねと思いながら、僕はあいかわらずビールとコーヒーばかり飲んでいる。
posted by ハジメ at 21:35| Comment(2) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月27日

94.夜の散歩

風呂上がりにとなりのコンビニでビールを買って帰ってくると、息子が玄関で自らベビーカーに乗って待機していた。
僕が出ていくのを見て自分も行くと言ってきかなかったらしい。
妻は共用廊下でも歩いてごまかしてくる、と言って出ていき、本当に10秒ほど歩いてすぐに戻ってきた。
いくら1歳児でもさすがにそこまで簡単にはごまかされないだろう。
やはり息子はわんわん泣き出した。

「いいよ、じゃあ少しだけ散歩してくる」僕はコンビニの袋からビールを取り出しながら言った。
「でも、そろそろ寝かさないと」
「少しだけだから」
妻もそれ以上止めようとはしなかった。

右手にビール、左手にベビーカー。
マンションを出て、さっき行ったばかりのコンビニを通り過ぎる。
僕はTシャツにジーンズ姿で、髪はまだしっとりと湿っている。
だいじょうぶ。今夜の風はそこまで冷たくない。

商店街のほとんどの店はすでにシャッターを閉じており、息子はいつもと違う風景に少しとまどいを覚えてきょろきょろしている。
息子の名前を呼ぶと、振り返ったその顔も不安げだった。
「いま何歳?」
僕がそう聞くと、息子はきちんと指を1本立てた。

商店街をしばらく歩くと踏み切りがある。
そして僕がめざしていたのもここだ。
手前の道路端にベビーカーを停めた。
まだ息子は不安げな表情をしている。

1分ほど待つと、警報機が夜の静寂を打ち破り、遮断機が降りはじめた。
「そろそろ来るよ」僕は息子に語りかけた。
数秒後、強い光のかたまりが遠くから、轟音とともにぐんぐん近づいてきた。
息子は、目の前をきらきらと通過する電車を指差して「おおおおお!!」と叫んだ。

轟音が去り、警報機が鳴り止み、遮断機が上がる。
息子に「おもしろかった?」と聞くと、笑顔で「うん」と言った。

それからしばらく、ふたりで何度も電車の通過を見送った。

帰り道。僕の髪はすっかり乾いていて、息子は「かんかんかん」と警報機のまねをして何度も振り返った。
ビールの缶はコンビニのゴミ箱に捨てた。
posted by ハジメ at 04:01| Comment(2) | TrackBack(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月04日

93.板づくし

やばい。一人だと完全に夜型になってしまう。
そして毎日数時間ずつ寝る時間が遅くなっていく。
仕事中はずっとCDをかけているのだけれど、昨日1日でアルバムを28枚ぶん聴いた。

おかげでもう今月の仕事が半分くらい終わってしまった。
今日くらいはそろそろ遊んでもいいのではないか。

といっても結局ツタヤでDVD借りるくらいしかないんだけど。
なんかえっちなイベントとかないのか俺は。
posted by ハジメ at 06:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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